【2024年版】グリーン電力証書とは?仕組みやメリットをわかりやすく解説
「環境対策への取り組みをして、自社の社会的価値を高めたい」
「環境への貢献を示すグリーン電力証書は、どのように役立つの?」
このように考えてはいませんか。企業において環境対策を行う際には、難しい概念も多く理解するのに時間がかかりますよね。
そこで本記事では、グリーン電力証書についてわかりやすく解説します。グリーン電力証書の仕組みを活用した「グリーンチケット」を提供している株式会社エナーバンクが、専門的な内容をかみ砕いて説明するため、見識がない方でも深く理解できるでしょう。
グリーン電力証書のメリットや購入方法、企業事例まで解説するので、自社に取り入れる際は役立ててください。
グリーン電力証書とは、再生可能エネルギーで作った電気の環境価値を取引可能にした証書
そもそもグリーン電力とは、太陽光や風力、水力、バイオマスなどの再生可能エネルギーによって作られた電気を指します。昨今、地球温暖化やエネルギー不足の影響により、グリーン電力に注目が集まっています。
そして、グリーン電力証書とは、温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーによって、発電された環境価値を取引できる証書です。CO2排出量を削減したり、省エネルギーで電力開発したりできることをグリーン電力証書という形で見える化して、企業が環境対策をできるようにする仕組みです。
発電設備がなくても、グリーン電力を使用したとみなされるため、環境対策をしたい企業から注目を集めています。
求められる背景
グリーン電力証書が求められる背景として、世界的な環境問題への関心が挙げられます。昨今、地球温暖化やエネルギー不足などへの関心が高まっており、脱炭素を目指す姿勢が重要視されます。
日本においても、2050年にカーボンニュートラルの実現を宣言していることから、グリーン電力の普及が必要になっているのです。
グリーン電力証書は、再生可能エネルギーによる環境価値を証書書化して見える化することで、グリーン電力証書の普及を目的としています。
環境への貢献度合いをアピールできるので、グリーン電力証書を購入する企業が増えています。
グリーン電力証書証書の仕組み
グリーン電力証書は、再生可能エネルギーによってCO2を排出されずに発電された環境価値(環境に優しい電気である価値)があるとみなされます。その環境価値を証書認証者(日本品質保証機構)が認証して証書発行事業者が発行することで、発電業者と顧客をつなぐ仕組みになっています。
具体的な流れは、以下の通りです。
1、発電業者がグリーン電力(再生可能なエネルギー)を作る
2、発電業者が環境価値を証書発行業者へ売却する
3、証書発行事業者は証書認証者(日本品質保証機構)にグリーン電力を認証してもう
4、証書発行事業者がグリーン電力証書を発行して、電力を使う顧客へ売却する
グリーン電力の測定方法は、検定機関の検定を受けた特定計量計を用います。そのため、正確に算定できるので、安心してグリーン電力証書を購入できるでしょう。
非化石証書やJクレジットとの違い
再生可能エネルギーに関わる取引として、グリーン電力証書以外にもJクレジットや非化石証書が挙げられます。3種類の取引の違いを以下の表にまとめました。
※1:RE100とは、使用電力の100%を再生可能エネルギーにする、取り組みをしている企業が加盟する企業連合です。
※2:CDPとは、気候変動への取り組みを評価する非政府組織です。
※3:SBTとは、企業が設定する温室効果ガス排出削減目標です。
参考:再エネ価値取引市場について|資源エネルギー庁
非化石価値取引について|資源エネルギー庁
気候変動をめぐる国際的なイニシアティブへの対応|経済産業省
非化石証書とは、化石燃料(石炭や石油、天然ガスなど)の化石燃料を使わない発電方法で作られた電気を証明するものです。
一方でJクレジットとは、再生可能エネルギーや省エネルギーに関わる活動により、削減されたCO2の量を証明するものです。国が認証しているので、温室効果ガスの排出量削減の報告に利用できます。
グリーン電力証書と非化石証書、Jクレジットの違いは主に以下の2点です。
・発電方法
・転売の有無
グリーン電力証書は、再生可能エネルギー由来の発電を証明するのに対し、非化石証書は、化石燃料以外の方法によって発電された電力がもつ環境価値を認証化したものです。
一方で、Jクレジットは再生可能エネルギー由来の発電でなくても認証される場合があります。
また、グリーンチケット電力証書と非化石証書は転売できませんが、Jクレジットは転売が可能です。
グリーン電力証書のメリット2選
本項では、グリーン電力証書のメリットを2点解説します。
1、企業の社会的価値が向上する
グリーン電力証書のメリットは、企業の社会的価値が向上する点です。
グリーン電力証書は「追加性がある(証書の取引が、新たな再生可能エネルギー設備に対する投資を促す)」ことが認証されているため、購入することで新たな再生可能エネルギー普及の支援になります。
結果として、CSR経営(企業に求められる社会的責任に配慮した経営手法)に取り組んでいる企業として、広報活動に役立てられます。
昨今は利益追求だけでなく、社会的に価値のある活動をしている企業が評価されるので、ブランディングに効果的です。
2、環境対策ができる
グリーン電力証書を購入すると、環境対策ができます。温暖化のもとになるCO2の排出量を削減でき、エネルギー不足にも対応できるからです。
それに伴い「CDP Worldwide-japan」によると、グリーン電力は、温室効果ガス排出量の算定におけるSCOPE2(スコープ2)の削減に適応可能です(下記参考)。
SCOPE2とは、自社が外部から購入したエネルギー(電気・熱など)が作られたときに排出されたCO2などの間接排出を指します。
グリーン電力証書を購入することで、証書に記載されている電力量の相当分だけ、グリーン電力を利用している証明になります。
それにより、CO2を排出しない再生可能エネルギーを調達したと見なされ、SCOPE2の削減に寄与できるのです。長期的に環境対策をしたい企業に向いているでしょう。
グリーン電力証書のデメリット2選
本項では、グリーン電力証書のデメリットを解説します。
1、価値が高い
グリーン電力証書は、価値が高いのがデメリットです。
非化石証書は1kWhあたり約0.4円~なのに対し、Jクレジットは約1円、グリーン電力証書は約4~15円です。最大で、約30倍以上の価格差になる場合もあるでしょう。
価格が高い理由は、国産の再生可能エネルギーでありブランディングされていることや、供給量が少ない点です。
このようにグリーン電力証書は、価格が高い傾向にありますが、企業における環境への取り組みをアピールでき、環境意識の高い消費者からの商品購買につながります。
5年〜10年といった長期スパンで考えると、メリットの大きい取引といえるでしょう。
2、省エネ法や地球温暖化対策推進法に使用するためには別途認証が必要
グリーン電力証書は、民間機関である日本品質保証機構が保証しています。公的な機関が認証しているものではないことから、法的な拘束力はありません。
それにより、省エネ法(エネルギーの効率的な使用を求めた法律)や地球温暖化対策推進法(地球温暖化対策の推進を目的とした法律)に使用できないのがデメリットです。
しかし、資源エネルギー庁と環境省が運営する「グリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度」により国の認証を受けると、地球温暖化対策推進法における報告や公表ができます。
法的な保障を受けたい企業は、グリーン電力証書において国の認証を受け活用しましょう。
【5Step】グリーン電力証書の購入方法
本項では、グリーン電力証書の購入方法を解説します。
【Step.1】グリーン電力証書を購入する目的を決める
グリーン電力証書を購入する前に、何を目的に購入するのかを決めましょう。目的によってグリーン電力証書の調達先が変わるからです。
自社の使用電力量に対してグリーン電力を利用したとみなすことで、CDPやSDPといった気候変動の取り組みの報告に利用できます。
目的を明確にして、グリーン電力証書を何kWh分購入するのかを決めましょう。
【Step.2】購入企業を選択する
グリーン電力証書は、証書発行事業者から購入する必要があります。
証書発行事業者により証書の販売単位や価格、発電所、サービス内容が異なります。「Step.1」で明確にした目的をもとに、証書発行事業者を決めてください。
複数の業者のサービス内容を比較しながら、購入企業を選択しましょう。
【Step.3】金額を見積もってもらい予算を把握する
グリーン電力証書を購入する企業が決まったら、金額を見積もってもらいましょう。例えば、エナーバンクではグリーン電力証書の金額を以下の計算式で見積もります。
グリーン電力証書価格 = 使用予想電力量(kWh)× グリーン電力使用割合(%)× 単価(円/kWh)+証書発行手数料+消費税
「必要な電力量」「自社の予算」を考え、何kw分購入するのかを決めてください。
【Step.4】グリーン電力証書を購入する
グリーン電力証書の金額に問題がなければ、発行事業者との契約を行ってください。
契約の際には、証書の種類や数量、価格、有効期限などを確認する点が大切です。
そしてグリーン電力証書を購入したら、証書の発行を受けます。以下の項目が記載されているので確認してみましょう。
- 発行日
- シリアルナンバー
- 認証機関名
- 発電種類
- 発電所の所在地
- 発電量やCO2削減量
証書と交わした契約に相違がないかどうかを確認してください。
【Step.5】購入の旨を公表する
グリーン電力証書を購入した後には、社会に対して購入の旨を報告する必要があります。理由は、自社が行っているビジネスの環境価値を適切に表現するためです。
「表現等に関するグリーン電力証書所有者用ガイドライン」によると、公表する際の表現方法として「いつ、だれが、どこで、どの程度、どのような目的」で使用するのかを説明するのが望ましいと記載されています。
グリーン電力証書を有効活用するためにも、適切な表現で説明文を作成しましょう。弊社では、この作業もサポートさせていただきますので、お気軽にご相談ください。
「必要な電力量」「自社の予算」を考え、何kw分購入するのかを決めてください。
グリーン電力証書の活用事例
本項では、日本企業におけるグリーン電力証書の活用事例を解説します。
サントリー株式会社
サントリー株式会社はエナーバンクとの連携を行い、自動販売機に必要な電力をグリーンチケットとして購入し、CO2排出ゼロの自動販売機を設置するビジネスモデルを構築しました。サントリー自動販売機を設置すると、導入に必要な電力分のグリーンチケットがサントリーより提供されます。
ESR株式会社
ESR株式会社は、自社で開発運営している物流施設の太陽光発電所に対して、グリーン電力証書を発行しました。グリーン電力設備認定を受けた施設で、発電された自家電力分を環境付加価値として販売することを目的としています。
エナーバンクと連携を行い、テナント企業だけでなくCO2排出量削減に取り組んでいる企業に対して、JQAに認証された発電量の範囲内で環境付加価値を取引できるビジネスモデルを構築しています。
そして、エナーバンクが証書発行事業者となっており「グリーンチケット」を介して発行されました。
ESR株式会社がグリーン電力証書を発行すると、ESR株式会社がテナント保有している企業やCO2削減に取り組む企業は、環境付加価値を取引できます。
例を挙げると、2022年3月24日に、ESR株式会社の太陽光発電設備の設計施工を手がける株式会社福原工業に対し、28万kwhを環境付加価値としたグリーン電力証書をエナーバンクより発行しました。
今まで未活用だった再生可能エネルギーの環境価値を証書化して、テナントのRE100企業へ販売することで、取引先に対して新たな連携を可能にしています。
三菱地所株式会社
三菱地所株式会社は、東京・大手町の本社オフィスと三菱一号美術館において、太陽光や風力、地熱などの再生可能エネルギーを用いたグリーン電力を使用してきました。
具体的にはグリーン電力証書を用いて、駐車場に設置している電気自動車の充電器にグリーン電力を活用しています。
さらに三菱地所グループ全体では、2030年までに温室効果ガス排出を2017年比で35%削減、2050年までに87%削減する目標を制定しました。
2020年1月にRE100にも加盟しており、2050年には、事業における再生可能エネルギーの使用率100%を目指しています。
このように三菱地所は、グリーン電力証書を活用しつつ、再生可能エネルギーの積極的な利用につなげています。
グリーン電力証書の購入ならグリーンチケットを利用しよう
グリーン電力証書とは、再生可能エネルギーで作られた電気の環境価値を取引可能にしたものです。企業は、ビジネスにおいて再生可能エネルギーの利用をアピールできるため、自社のブランディングに役立ちます。
株式会社エナーバンクでは、グリーン電力証書の仕組みを活用して再生可能エネルギーから生まれる環境価値をデータとして可視化する「グリーンチケット」を提供しています(以下参照)。
RE100の基準としてグリーン電力証書は、証書発行から15年以内が有効とされます。しかし、弊社で取り扱いしているグリーンチケットは発行から5年以内なので、RE100を達成できます。
グリーンチケットの詳細な事例を知りたい方は、以下の資料をダウンロードして「どのように活用するのか」について、知見を深めましょう。
グリーンチケットを活用して、環境対策に貢献できる企業を目指してください。